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接語化・屈折・語形成
―北ゲルマン語の後置定冠詞を中心に―

清水 誠(北海道大)

デンマーク語西ユトランド方言 (vest jysk) を除く北ゲルマン語に共通の後置定冠詞は,Braunmüller (19992) や König/Van der Auwera (eds.) (1994) の諸論文では名詞の屈折語尾とされている.しかし,他の限定詞との共起,高さアクセントと声門閉鎖という語の音韻構造,それに,屈折語尾の機能を消失し,群属格や複合名詞の連結要素という語形成手段に変化した大陸北ゲルマン語のいわゆる属格語尾 -s と関連づけて検討すると,後接語 (enclitic) であることがわかる.また,人称代名詞の後接語から発達した屈折語尾であるアイスランド語の動詞語尾 -ð/-t や,再帰代名詞の接語化から屈折語尾に発達し,一部で中動態動詞の派生接尾辞という語形成手段に転用された「-s/-st 動詞」と同様,後置定冠詞は「後接語→屈折語尾(=文法的接尾辞)→派生・合成接尾辞(=語形成接尾辞)」という変化の枠組みに位置づけられることをゲルマン語類型論の視点から論じた.

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