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動詞の意味拡張に見られる被害性の発生

夏海燕

意味的に中立な基本義を持つ動詞が、意味拡張に伴いネガティブなイメージを帯びて使用されるという非常に興味深い現象がある。例えば、日本語の「みる」は、「テレビをみる」のように視覚動詞として使う場合、意味としては中立的であるが、「憂き目・痛い目・ひどい目・辛い目・いい目をみる」や「ばか・泣き・地獄・恥をみる」などのように、意味が拡張して「ある出来事を経験する」という意味で使う時は、「いい目をみる」という例外はあるものの、多くの例が被害性を帯びる。

本研究では、コーパスから多数の実例を収集し、このような傾向を持つ動詞を分析した。すると、一見、意味的に共通性がないように思われる動詞群が「意図性の消失」、「物事の動作主領域への移動」、「動作主が動作の影響をうける」という3つの意味特徴を持っているということが分かった。本研究では、これら3つの特徴が、動詞の意味拡張に見られる被害性の発生要因であると主張する。

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