日韓両言語における敬語意識の対照研究 ―文化庁の世論調査の追試―
金 順任(東京外国語大大学院)
本発表では,日本と韓国で行ったアンケート調査を通じて,話し手と聞き手の関係による敬語意識を明らかにすることを目的とした.今回の調査は文化庁の世論調査(1997,Q5 敬語を使うべき相手か否か)の追試に当たるが,新しい試みとして,新たに親疎関係を考慮に入れた.結果的に親疎の差は大きく,仮説は妥当であったといえる.また,全体的に「場合による」の回答も多く,今後は場面を細かく設定する必要があると考える.日韓の比較においては,日本語において 「場合による」のような曖昧な答えが多いことや,日本で親疎が優先されることなどが明らかになり,男女差としては,日本語においては女性の方が「場合による」が多いこと,韓国語の場合は男性において規範意識が強いことなどが明らかになった.