スペイン語の ¿Es que ...? と「ノ(ダ)」疑問文
和佐 敦子(大阪外国語大非常勤)
本発表では,なぜ「ノ(ダ)」が es que より多用されるのか,その相違点を明らかにするため,疑問文に現れる es que と「ノ(ダ)」疑問文について分析し,次の3点を主張した.(1) ¿Es que ...? には,¿Acaso ...? と同様,文脈から話し手が推論する仮説を聞き手に確認する用法と,修辞疑問文となる用法がある.(2) 疑問文において es que が使用されるのは,話し手が文脈から推論した命題pを提示する場合である.その際,話し手は提示する命題pの対立命題 ~pへの〈傾き〉を有する.(3) 疑問文において,ノは,発話時における話し手の事態認識を表す有標の形式として用いられる.一方,es que は文脈から推論した話し手の仮説を提示し,対立命題が存在するときにのみ使用される.この使用条件の違いが,両語の使用頻度の差となっている.