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空演算子無移動仮説における日本語関係節
―照応詞認可と島の効果―

北尾 泰幸(大阪大大学院)

本発表では,Takahashi (2001) の空演算子無移動仮説をもとに,日本語関係節を分析した.日本語関係節では,関係節の主語位置に照応詞が生起でき,空演算子無移動仮説を推し進めると,先行詞になるべき顕在的な名詞句が関係節内において照応詞を束縛していることを意味している.本発表では Miyagawa (2001) の EPP の分析をもとに,先行詞が TP 指定部から主語位置である vP 指定部の照応詞を束縛すると分析した.英語では TP 指定部への主語の義務的移動があるため,主語以外の名詞句が関係節の主語位置の照応詞を束縛することはないと分析した.

また,日本語関係節には島の効果が見られないが,これは Murasugi (1991) に従い関係節が TP であることと,関係節内に顕在的に生起した名詞句が消されるというメカニズムと phase の概念を組み合わせることにより説明できることを示した.また英語の関係節では島の効果が見られるが,これは英語の関係節は CP であることと,Phase Impenetrability Condition から説明できることを示した.

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