三部門並列モデルに基づく中間語彙項目の分析
朝賀 俊彦(福島大)
本発表では,Jackendoff (1997) の提案する三部門並列モデル (tripartite parallel architecture) に基づいて,異なる二つの語彙項目の中間的性質を示す語彙項目の特性を説明した.さらに,そのような語彙項目が生じるメカニズムが,形式と意味とを派生ではなく対応規則によって関連づける分析により適切にとらえられることを示した.
三部門並列モデルによると,語彙項目は互いに独立している音韻構造,統語構造,概念構造を結びつける対応規則とみなされる.発表では異なる二つの語彙項目とこれらの語彙情報を部分的に共有する形でその二つの語彙項目の中間的性質を示す語彙項目を中間語彙項目と呼び,その具体例として,far from の程度表現としての副目的用法 (Kajita (1977)) と「燃やす」の意味で用いられる他動詞 burn の「誤用」(池上 (1981))について論じた.