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「(そう)かといって」と「(そう)だからといって」について

森 貞(福井工業高等専門学校)

「(そう)かといって」と「(そう)だからといって」について,9種類の国語辞典が交換可能であるかのように定義している.本発表では,まず,学生を対象としたアンケートの結果を元に,上記の表現が交換可能でないことを示し,その使い分けの基準として以下の認知的基盤を提案した:「話者が,PとQとの間の何らかの関係を否定する場合,Qを〈多数のうちの一つ〉として認識している時は『(そう)かといって』を具現化し,Qを〈唯一のもの〉として認識している時は『(そう)だからといって』を具現化する」.そして,この基準が妥当なものであることを「とは限らない」との共起可能性を探ることによって,検証した.さらに,当該表現の選択には,上記の認知的要因ばかりでなく,以下の語用論的要因が関与する場合があることを指摘した:「PとQの関係を強く否定したい場合には,『(そう)だからといって』の方を用いる傾向が強くなる」.

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