フィールド言語学者のニーズに合った多言語処理ツールの試み
小野 智香子(日本学術振興会特別研究員/東京大大学院)
鈴本 麗璽(名古屋大大学院)
松村 一登(東京大)
鈴本 麗璽(名古屋大大学院)
松村 一登(東京大)
各人が勝手なエンコーディングのフォントを使うのを止め,Unicode と呼ばれる国際規格の文字コードに移行すれば,コンピュータによる多言語処理をリスクなしに,かつ効率的に行うことが可能になる.その前提として,ASCII 文字と漢字カナ以外の文字が簡単に入力できる Unicode 対応の汎用ソフトキーボードと IPA 音声記号やキリル系変形文字などの特殊文字が一通り表示可能で,かつ,改変再配布自由なフォントの開発が必要である.発表者たちは,この2つを開発し,その応用として,フィールド言語学者が IPA 音声記号などを簡単に入力できる簡易エディタを試作するとともに,漢字かな・ラテン文字・IPA 音声記号・キリル文字が用いられ,印刷物の形で公刊されているチュクチ・カムチャッカ諸語の語彙データをもとに,日本語・英語・ロシア語およびチュクチ・カムチャッカ諸語の間で双方向の検索が可能な「辞書検索ツール」を試作した.