スペイン語・日本語二言語併用児の会話の分析
―コードミキシングを中心として―
久津木 文(神戸大大学院)
本研究では3歳時(録音時6歳)及び6歳時(録音時7歳)とそれぞれ異なる時期に来日した2人の継続バイリンガル児のスペイン語話者との会話を第二言語である日本語からのコードミキシングを中心に分析した.在日期間が短い方の児童は3回の録音の間に会話中に日本語の文を用いる傾向が高くなっていった。意味,語順,統語レベルでの日本語からの影響は,在日期間が長く,日本語との接触時期が3歳であった児童に多くみられ,特に,意味的なレベルでの影響はもう一人の児童には全く観察されなかったことから,第二言語である日本語が母語であるスペイン語の習得に影響を及ぼすことがあり,どのような影響であるかは第二言語との接触時期と接触期間,さらに二言語の組み合わせによって異なってくる可能性があることを示唆した.