韓国語済州島方言における形容詞のアスペクトの対立について
金 光珠(麗澤大学大学院)
本発表では,韓国語済州島方言のアスペクト体系について,形容詞の場合を中心に報告した.結論として,まず,動詞のアスペクト体系は,従来から言われている不完成相(動的)の /emsi/ 形と完了相(静的)の /esi/ との二項対立ではなく,その現れ方に注目した場合,新たに完成相を表す無標の /Ø/ 形を加えた三項対立とすべきことを提案した.
次に,このような動詞におけるアスペクト体系が,形容詞述語文においてもそのまま維持され,意味的に /emsi/ 形と /esi/ 形が同じ状態を表す場合においても,副詞句の挿入による自然さの判断から,両形式のアスペクト的な捉え方の相違が形容詞述語文においてもそのまま反映されていることを確認した.そして,形容詞述語文において,一人称主語は無標の /Ø/ 形の場合でしか許されないことも論じた.