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台湾およびフィリピン諸語の使役文:
動詞焦点クラスによる被使役者の格標示

野島 本泰(ヒューマン・アカデミー非常勤)

本発表では,オーストロネシア語族に属する,ブヌン語(台湾)およびキナライア語(フィリピン)の,3項が関わる使投文を比較し,被使役者を表す名詞句に焦点が置かれたときに,動詞に標示される焦点クラスに違いがあることを指摘した.2項動詞(例:借りる)から派生した使役動詞(例:貸す)を述語とする文では,ブヌン語では被使役者に焦点を置くと,動詞は場所焦点 (location focus) で現れるのに対し,キナライア語では被動者焦点 (patient focus) で現れる.また,従来ほとんど問題にされることのなかった,台湾,フィリピン諸語の使投文について,その類型論的な位置づけを試み,次のことを指摘した:(あ)3項が関わる使投文における格標示は,その言語の3項動詞文のそれと同じ原理に基づくものであること.(い)台湾,フィリピン諸語では,使役化によって,元のAだけでなく,元のOも格標示がかわる点が特殊であること.

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