大規模コーパスを用いたフィンランド語の分析的使役構文の語彙的・文法的特徴の記述
千葉庄寿
本発表では、大規模コーパスから得られた用例群がもつ語彙的・文法的特徴を、サンプル化されたコーパスデータとの比較に基づき評価する手法を用い、現代フィンランド語の分析的使役構文(主動詞pan-na ‘put’、saa-da ‘get’+第3不定詞入格形)の語彙的・文法的特徴を分析する。フィンランドIT Center for Scienceが提供するフィンランド語コーパス(ftc、1億8,000万語)から抽出し形態・統語・語彙情報を付与したサンプルコーパス(800万語)を基礎データとして用い、ftcから取得した分析的使役構文の用例について以下を指摘する。
(1)2種類の分析的使役構文の主動詞の時制およびアスペクトの分布が相互に類似している一方、サンプルコーパスの定動詞全体における分布とは有意に異なること。
(2)第3不定詞入格形で現れる動詞の種類が2種類の分析的使役構文で異なり、その違いが不定詞の動詞価の観点から説明できること。