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日本語の子供におけるWh疑問文の獲得研究:
付加詞 Wh 句「なぜ」と「どうして」の解釈

平野 尚美(金城学院大学大学院)

生成文法理論のBarriersの枠組み(Chomsky(1986))で仮定されている移動にかかる制約の一つ「空範疇原理 (the Empty Category Principle (ECP))」が Wh 疑問文を解釈する際に働くかどうかについて,日英の言語獲得データを通して通言語的視点から考察した.付加詞の Wh 句「なぜ」又は「どうして」を含み多義的でない(関係節を含む)疑問文に焦点を当てて実験をおこなった結果,被験者である子供(3;6-6;5の日本語を母語とする子供29人)のほとんどがECPに従った解釈を示し,ECPに違反したものは(付加詞の Wh 句を埋めこみ節の要素として解釈)約5%に過ぎなかった.この割合は,Roeper and de Villiers(1992)の英語の実験結果(約7%)に非常に近く,統語上 Wh 移動がみられる英語とみられない日本語は表面上異なるものの,解釈する際,両言語共にECPに従う事がわかった.この事実より,ECPがUGの原理の1つであり,且つLF移動にかかる原理である事を示せた.

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