職場での呼称使用に対する韓国人の属性・対人関係特性・性格特性の影響
林 炫情(広島大学大学院/日本学術振興会外国人特別研究員)
玉岡 賀津雄(広島大学)
玉岡 賀津雄(広島大学)
本研究では,呼称使用に変化が求められている今日の韓国社会で,職場のコミュニケーションにおける呼称選択の規範意識(適切性判断)を把握するとともに,さらにこうした呼称選択の判断が被験者のどのような属性,対人関係特性,性格特性の影響を受けているかについて検討した.韓国語の呼称体系では,目上の人を名前だけでは呼びにくく,親族名称や地位・役職名で呼ぶのが一般的である.しかし本研究で明らかになったように,「(公式の場で)上司を姓名+ssi(氏)と呼ぶ」ことについては適切(M=0.97)であると判断していた これは職場で,しかも公式の場では水平的呼称が肯定的に受け止められつつあることを示唆しているといえよう.また,性格特性の「調和性(標準偏回帰係数が,-.198)」が有意であったことから,調和性のない性格の人が上司であっても公式の場では彼らを名前で呼びかけることについて適切であると判断する傾向があった.