様態副詞の事象構造分析
坂本 浩 (東京大学大学院)
Lisa rudely departed.という文は、Lisa departed in a rude manner という意味( 副詞の動詞修飾)とLisa was rude because she departed という意味( 副詞の文修飾) の間で曖昧である。Pustejovsky (1991) は、これを動詞がもつ異なるサブイベントへの副詞的修飾という形で分析したが、この分析にはいくつか問題がある。本発表では、副詞にはprocess とstate というサブイベントが構造化されており、これが動詞のイベントと共構成( co-composition)することで新たなフレーズを組み上げると考えた。そのさい、動詞のprocess event と副詞の属性表示のstate event が同時に生起した場合に動詞修飾が強制され、時間的なずれが生じた場合に文修飾が強制されると分析した。また、心的態度副詞がスコープの違いがあるにもかかわらず意味に差が生じにくい点についても説明を与えた。