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主体性とラレル構文

町田章

一般に、日本語のラレル構文には、受身・自発・可能・尊敬の4つの用法があるといわれている。本研究の目的は、このようなラレル構文の多義性に見られる事態把握の基盤を明らかにし、日本語の特徴である「事態内視点」をLangackerの認知文法の枠組み内で図式化することにある。本多(2005)、中村(2004)によると、日本語は、事態内視点(Iモード)をとる傾向が強い言語だといわれている。実際、ラレル構文の拡張を理解する際には、この事態内視点を組み入れた主体的把握を考慮に入れる必要がある。本研究では、Langacker(1990)の主体化の図式に若干の修正を加える。これによって、自己中心的視点配列(egocentric viewing arrangement)の観察をより正確に図式化することが可能となり、ラレル構文の多義性に対して認知的に妥当は説明を与えることが可能となる。

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