状態変化事象における時間構造と尺度構造
浅野真也 (関西学院大学大学院)
非意志的な状態変化事象は、継続相「~している/~していた」や「~し始める」、「~していく/~してくる」などのアスペクト要素によって、一回の変化過程を取り立てることができるもの(e.g. 上がる、温まる)とできないもの(e.g. 死ぬ、無くなる)に下位区分できる。
本発表では、前者の変化事象が必ず、程度副詞「少し」、「かなり」、「だいぶ」や、「とても」もしくは「完全に」と共起できることに着目し、アスペクト要素が取り立てられるような時間構造上の変化過程の表示は、程度副詞の生起を可能にする尺度構造を必要とすると考えた。そして、尺度構造からの一対一の対応関係の要請が、アスペクト要素がアクセスできる時間構造を作ることを示した。