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アラビア語チュニス方言(チュニジア)の否定と文構造

熊切拓

アラビア語文語文法においては通常、単文を動詞の有無によって動詞文と名詞文に分けるが、アラビア語諸方言においてはそのかぎりではないことが指摘されている。本発表においてはアラビア語チュニス方言を例にとり、否定形式の違いを手がかりに、その文構造を分析した。結論は以下の通り。

1)チュニス方言の単文は次の2種に分類できる。

  • (A)人称要素を含む語もしくは句を主要部とする文
  • (B)(A)のような主要部をもたない文

2)文語的な動詞文・名詞文の分類でいえば(A)は動詞文、(B)は名詞文におおよそ対応する。

3)しかし、動詞文・名詞文の分類に当てはめることのできないタイプの文、すなわち前置詞句・名詞句を主要部とする文は(A)に、特殊な動詞文は(B)に振り分けることができる。

4)よって、本発表で主張した分類のほうが、動詞文・名詞文という分類よりも包括的であり、言語的事実をよく反映しているといえる。

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