電子化コーパス利用により韓国語複数形接辞「-deul」の定量的分析
李 在鎬(京都大学大学院)
本発表では多様な用法を持つことから一般化が難しいとされる複数形接辞-deul(-たち)に対し、コーパスの定量的評価に基づく分析を提案した。本論に先立ちdeul をめぐる記述的要請を明らかにした。その上でSejong プロジェクトによる書き言葉コーパスからKWIC 検索でdeul を含むサンプルを収集した。次にdeulの前後文脈を15 の変数でコーディングし、クラスタ分析を行った。分析の結果次の事実が明らかになった。1)deul の分析は四つのクラスタでもっとも良い分離が得られる。2)名詞との共起例(e.g. ai-deul:子供たち)には共起語が持つ加算性が深く関与しておりその生起文脈として「名詞+deul+名詞」のパターンが抽出できる。3)動詞との共起例(e.g. ulzi-deul mara:泣いたりするな)には状態動詞との共起が顕著であり「動詞;deul+動詞」のパターンが抽出できることが示された。