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コーパスから見える統語的な変化
─エストニア語の不定詞構文─

松村一登

エストニア語の他動詞ともに現れる4構文 ─(接格/分格名詞句)+(動詞mast形/da不定詞):mees keelas sõbral/sõpra külla tulemast/tulla(男+禁じた+友人[接格/分格]+訪問に+来る[mast形/da不定詞])「男は友人に訪ねてくるなと言った」─ の使われかたを、1990年代後半の新聞記事(3200万語)と1919~1920年の憲法制定会議の議事録(193万語)で比較した。2つのコーパスにおける4構文の頻度と分布の違いは、20世紀のエストニア語で起こった次のような統語的な変化の反映であると考えれば、うまく説明できる。[1]接格型の構文(接格+mast形/da不定詞)の使用が増える一方で、分格型の構文(分格+mast形/da不定詞)が相対的に衰退した。[2]この変化は、まずda不定詞構文(接格/分格+da不定詞)で始まり、やがてmast形構文(接格/分格+mast形)に波及した。[3]「接格+mast形」構文は、1920年代以降に生れた比較的新しい構文である。

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