倒置指定文としてのスペイン語es que構文における推論について
和佐 敦子(大阪外国語大学非常勤)
スペイン語のes que (it is that)構文は、“(φ) es que p.”という構造を持つ倒置指定文である。これまでの研究で、ゼロ主語には、la razon/la causa/el motivo (the reason or cause)とla verdad/el hecho (the fact or truth)の2種の名詞句が相当することが指摘されている。しかし、p を導く推論内容については明らかにされていない。本発表では、疑問文、条件文、平叙文に現れるes que 構文における推論内容について考察し、次の2点を主張する。
(1) es que 構文では、<反事実推論>あるいは<理由推論>により、複数命題の中から単一命題p が指定される
(2) es que の示す様々な意味は、es que 構文が倒置指定文であることから生ずる派生的意味である。