「AとB」と連繋タイプについて
永末 康介(福岡大学大学院)
本発表では、(1)のような「と」を用いて名詞句を連結する日本語の名詞等位句表現をとりあげた。
(1) [トヨタとホンダ]が[そこ]の子会社を訴えた。
ここでは「AとB」という表現はLFでQRを起こすQPでない場合があり、その時の「AとB」はPFで同一部分が削除によって生まれると主張した。その場合の「AとB」とソ系列指示詞との照応関係は束縛変項照応でなく、単なる同一指示の関係であると論じた。
加えて、「AとBと」という表現についても調べた。Fukui&Sakai(2003)では「AとB」と同様にconjunction reduction分析をとっている。しかしながら、そうすると2つの表現の差を説明するには不適切な分析になることから、「AとBと」はHoji(1995)やUeyama(1998)などが提案しているようにQP(厳密にはFDQP)であるということを示した。