パラオ語におけるNon-Emphatic Pronounの分類―接辞・接語・語の判定
下地 理則(東京外国語大学大学院)
本発表は、パラオ語のNon-Emphatic Pronoun (Josephs 1975)について、音韻・形態・統語的な事実に基づき、それが自立語であるのか接辞であるのか接語であるのか、を明らかにすることを目的とする。以下の例文1において、ak(一人称単数形)がNon-Emphatic Pronounである。
(1) ak kilis-ii
1sg. 掘った-それ
「私はそれを掘った。」
Non-Emphatic Pronounについては、これまで自立語であるとする分析と、接辞であるとする分析のふたつが提案されている。本発表は、通言語的な接辞・接語・語の判定基準を提案しているZwicky and Pullum (1983)およびZwicky (1985)に基づきNon-EmphaticPronounを分析する。その結果、自立語でも接辞でもなく接語とするほうが適切であることを示す。