第143回大会(2011年秋季,大阪大学)の発表賞(2件)
・大滝宏一氏・杉崎鉱司氏・遊佐典昭氏・小泉政利氏
「カクチケル語における項削除の可否について」本発表は、項削除の可否を説明する分析として、自由語順ではなく、一致に基づく分析の方が望ましいということを、カクチケル語の観点から論じたものである。先行研究では取り上げられていないカクチケル語の観察に基づき、新たな視点から項削除の分析について論じている点で独創的であり、明快な議論に基づき結論を導いている点でも優れた発表である。
授賞式(第144回大会,6/17,東京外国語大学)
・前田雅子氏
「日本語における非顕在的wh/focus移動とRelativized Minimality」本発表は、日本語において焦点要素と疑問詞が共起する場合に見られる制約について、派生に適用される相対的最小性(Relativized Minimality)の原理に基づく新たな分析を提案し、その帰結を探るものである。上記の制約を統語構造と派生の観点から説明しようとする点で独創的であり、複雑な現象に統一的な理論的説明を与えようとする意欲的な優れた発表である。
授賞式(第144回大会,6/17,東京外国語大学)