第152回大会(2016年春季,慶應義塾大学)の大会発表賞(3件)
・柴田香奈子氏
「修道院手話「手まね」の疑問表現」本発表は、日本、ドイツ、オランダの厳律シトー修道院で収集したデータに基づいて修道院手話(「手まね」)の疑問表現について分析し、Wh 疑問詞にあたる非手指指標の存在や、Yes/No疑問文における質問マーカーの文法化などを明らかにしたものである。動画データを用いた発表は効果的で、質疑応答も適切であった。
・峰見一輝氏(共同発表者:津村早紀氏,矢野雅貴氏)
「日本人学習者による英語filler-gap 依存関係の処理 ―自己ペース読文実験による検討―」本発表は、日本人英語学習者が英語のfiller-gap 依存関係を処理する際に、Active Gap Fillingは行っているが、Hyper-Active Gap Filling は行っていない可能性を、自己ペース読文実験を用いて示したものである。質疑応答でも質問者の意図を汲み取ったうえで適切に対応していた。
・松倉昂平氏
「複合名詞アクセントに見る福井県あわら市北潟方言と高知市方言の対応関係」本発表は、発表者自身が発見した三型アクセントの北潟方言において、複合名詞アクセントが特異な分布状況をみせる問題について解明を試みたものである。古い形を保存する中央式の高知市方言と比較し、両方言の対応関係を論じた。アクセント研究に新しい知見をもたらす内容で、発表の仕方も明解で丁寧であった。
授賞式(第153回大会,12/4,福岡大学)