第159回大会(2019年秋季,名古屋学院大学)の大会発表賞(1件)
白田理人氏
「北琉球奄美喜界島小野津方言の疑問文末標識と言語行為―話し手の行為遂行に関する疑問文を中心に―」本発表は、北琉球奄美喜界島小野津方言における疑問文末形式について論じた研究である。現象としては他の方言にも見られるものだが、一般疑問文および話し手の行為遂行疑問文について聞き手に答えを求めるか求めないかという言語行為の面に着目し、真偽疑問文・疑問詞疑問文に現れる5つの文末標識を体系的に整理、話者の行為遂行について聞き手に答えを求めるか否かで-(r)oo=kaと-(yu)mï(=ya)の使い分けがあることを明らかにした。-(yu)mïについては、説明できない用法があるなどまだ課題は残されているが、方言の形態・統語論、意味論、語用論にまたがる研究であり、新しい領域を切り開く意欲が感じられる内容である。発表においても、データを適切に提示しつつ検証を行っており、また、質問に対しても要領よく応答し、好感のもてる発表であった。
[授賞式(第161回大会,11/22,オンライン)]