本研究では、「~本」「~匹」などの助数詞が、数える対象となる名詞によって決定されることに着目し、日本語の名詞と助数詞とを脳内で照合するプロセスが、名詞が持つ意味的特性を利用した意味的なものであるか、それとも欧米言語に見られるようなジェンダーの一致と同様に文法的なものであるかを、事象関連電位を用いた実験により解明した。
日本語母語話者を対象に、名詞と助数詞の正しい組み合わせと誤った組み合わせを視覚提示して自然さを判断させたところ、誤った組み合わせを読んだ場合の被験者の脳波から、N400成分が検出された。この結果より、名詞と助数詞の照合には主に意味的な処理が関わっており、ジェンダーの一致のような文法的処理のみを必要とする言語現象とは処理過程が異なることがわかった。