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フランス語の属格をともなう定名詞句の唯一性について

小田 涼 (京都大学大学院)

 一般に、フランス語の単数定名詞le Nは文脈において唯一の指示対象を表すとされる。しかし一方で、l'aile de l'avion(飛行機の翼)のように、属格をともなう複合定名詞においてはしばしば唯一性が満たされないことが指摘されていた。飛行機には翼が二つあるのに単数定冠詞が使えるからである。このように厳密な意味での唯一性が要求されない定名詞を弱定名詞と呼ぶ。決まった数の少数の個体が分離不可能であるとき唯一性が要求されず弱定名詞が可能であると述べた先行研究に対し、本研究では、le N1 de N2(N2のN1)においてN1の個々の要素が均質であり、使用された文脈においてN1のアイデンティティーが関与的ではない場合にN1の唯一性がキャンセルされることを例証した。また、先行研究では、属格をともなう複合定名詞のみが弱定名詞であると主張されてきたが、本研究では、属格をともなわない単数定名詞句にも弱定名詞と同じ解釈が可能であることを示した。

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