本発表は台湾原住民諸語の1つであるセデック語のCV中立形の理由/目的を表す用法を扱った.セデック語の動詞の変化形は,一部を除いて,文の述語として用いられる用法と名詞として用いられる用法の2つがある.通常はその形が名詞として用いられるときの意味は,その形が文の述語になるときに主語になる意味役割に対応している.CV中立形は述語として用いられる場合は道具,受益者,三項動詞の移動される対象を主語にとるが,名詞としては受益者,道具や移動される対象を表す名詞になる他に,「~する理由/目的」を表す名詞としても用いられる.本発表ではこのCV中立形の理由/目的を表す用法を詳しく紹介した.また,「~するためである」,「~するようにである」はCV未来形を用いて表す.これについても触れた.また,これらの用法と「受益者」用法の関連についても考察した.