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日本語の擬情語心理動詞における時間性:
日英通常心理動詞との比較

秋田 喜美 (神戸大学大学院)

 内的経験を描写する日本語のオノマトペ「擬情語」のうち感情を表すものは,「びっくりする」のように「する」を伴い心理動詞を作る.オノマトペ一般の音象徴性に基づきこれらの動詞を形態音韻論的に分類すると,特に「非重複形のみ」「非重複形/重複形ともに可」「重複形のみ」という 3類が見出せる.ところで,当該動詞は「先輩にどきどきする」のようにニ格により感情の対象を取るが,中には「失敗をくよくよする」のようにヲ格でも取れるものがある.本論では,それらが全て継続的経験を表す「重複形のみ」の類に属することから,心的経験の継続性をヲ格可能性の必要条件と捉え,ニ/ヲ格選択の決定的要因は時間性ではなく感情(の対象)の種類であると主張する.更にこのことが日英語の通常心理動詞による格や前置詞の選択についても言えることを,時間性が決定的要因とする従来の分析への反例(継続的経験なのにニ格やat が使われる例)を挙げ裏付ける.

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