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中国語の「文フォーカス構造」について―韻律を中心に-

相原 まり子 (東京大学大学院)

本発表は、中国語において命題全体がフォーカスであることを標示するのに、主語を韻律的に際立たせるという手段が用いられるということを主張する。中国語では、存現文や“有”構文を用いて命題全体がフォーカスであることを示すことができるが、これらの構文が使えるのは、その文によって談話に導入される指示対象が聞き手に同定不可能な場合であり、同定可能な場合は、一部の例外を除き、主語‐述語の語順にしなければならない。このようなことから、同定可能な指示対象が主語になる場合、一見すると、命題全体がフォーカスである文と述語がフォーカスである文が同じ形式になるように見える。ところが、韻律に注目すると両者には違いが見られ、本研究の実験結果は、命題全体がフォーカスになる場合には主語が韻律的に際立たせられるということを示している。これは英語にも見られる現象であり、Lambrecht 1994の言う「韻律倒置」に相当する。

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