韓国語の否定構文には動詞の直前に否定要素 anが置かれる短形否定(Short-Form Negation;SFN)と動詞語幹+ -ci an-hの構成の長形否定(Long-Form Negation;LFN)がある。
本発表では統語操作の後、形態音韻部門で実際の音形を持つ語彙要素が挿入されるとみなす分散形態論(Distributed Morphology ; Halle and Marantz 1993, 1994)の考え方を基に、短形否定でNegは統語部門で独立した機能範疇ではなくvの素性として存在し、形態音韻部門でひとつの統語終端節点に二つ以上の形態素が挿入されるのを保証するFission操作で接頭辞 an- として具現されと論じる。一方、長形否定はNeg素性を含む動詞an-hがDefectiveなTPを含むciPを補部で選択する複文構造であることを論じる。この分析は短形否定の語彙的な特性を語彙部に関する仮定なしで説明でき、また短形否定と長形否定の間の様々な形態・統語・意味的な差を捉えることができる。