フィンランド語の不定詞は第1不定詞から第5不定詞までの5種があり、格・人称・数を受けて活用する。不定詞の主語は、Dependent-Marking、Head-Marking、Double-Marking、No-Markingの4つの構造によって標示される。本研究は不定詞の主語標示の構造について、その傾向を明らかにすることを目的とした。
本研究では、政党の機関紙をリソースとしたコーパスから用例を得た。分析の結果、次のような傾向が指摘できる。A)第1不定詞と第5不定詞はHead-Markingでほぼ固定されているが、それ以外の不定詞はNMの頻度が圧倒的に高い。B)第2不定詞具格形は主節の主語と一致していない場合にDependent-Markingとなり、その場合、知覚動詞や移動動詞が第2不定詞となっていることが多い。C)第5不定詞の主語はほとんど3人称であるが、1人称主語もまれに見られる。