これまでの言語獲得研究において、その発達差を表すための基準は専ら年齢に基づくものであった。幼児は言語の発達とともに様々な他の能力も同時に発達しており、多くの場合、それらは年齢とともに発達している。ところが、実際にはそれら種々の能力の発達は同じ年齢の幼児でも様々である。本研究ではそのような能力のうちでも作動記憶に着目し、Otsu (1994)、團迫 (2005) によって示された、単文理解の際に適切な文脈を併せて呈示することで理解が促進されるという事実に関して、年齢に基づく分析では見出せなかった以下の点が作動記憶容量に基づく分析により取り出すことができることを示した。