広東語は中国語の一方言である。主題を表す場合、広東語は標準中国語と同様、モーダル助詞が用いられる。「主題表示としてのモーダル助詞」は中国語の方言によって様々である。広東語には 「【呀a】、【蜻「ne】、【蝟指o】、【蝗瑛o】、【蝠ヲla】」があり、これらはいずれも文末助詞としての役割を持つ。ところが、広東語の先行研究では、これらの助詞の主題表示用法が十分に捉えられていない。特にこれらの助詞の声調違いに基づく分類に目を配っていない。
本発表では、広東語話者の会話データおよび作例を用いて、広東語の「主題表示としてのモーダル助詞」の意味機能の分析を行う。これまでの研究は書き言葉を中心とするもので、「主題表示としてのモーダル助詞」が単なる主題の強調というマイナーな要素と捉えられていることを指摘し、これらの助詞が主題と解説との間とを結びつける文法的な面及び語用論的な面で、重要な役割を果たしていることを示す。