日本語におけるwh島の条件は,主文動詞の種類あるいはプロソディーに影響されると,これまで主張されてきた。西垣内(1999)は,主文動詞がwonderタイプならその補文はwh島の効果を示し,knowタイプなら示さないと主張している。一方,Deguchi & Kitagawa (2002)は,主文動詞の種類とは関係なく,ピッチリセットをどこに置くかによってwh島の条件が現われるか現われないかが決まると主張している。本研究は,主文動詞とプロソディーの関係を整理し,最終的に日本語のwh島の条件には,プロソディーが大きな影響力を持っていることを示す。しかし,プロソディーとは関係なく,wh島の条件が現われるケースがある。それは補文が「かと」で終わっているケースである。「かと」は2つのComplementizerから成り立っており,そのことがwh島の効果を示す要因になっていると主張し,その統語構造も示す。