状態変化動詞の下位クラスと被作用性の制約:
中間構文形成の観点から

関 敬一郎 (大阪経済大学/京都大学・非)

本研究は語彙意味論の立場から英語の中間構文形成と,その被作用性の制約を語彙概念構造(LCS)のレベルで考察する。中間構文形成状態変化動詞には動作主動詞クラス,状態変化動詞クラス,位置変化動詞クラス,Degree Achievement 動詞クラスが存在し,動作主背景化の他動性尺度を形成していると考える。中間構文形成では,能格交替中の他動詞文の外項が上位イベントで置換される二重イベント化がまず起こる。次に二重イベント構造の上位イベント内のイベント項が全称量化され,上位イベントの背景化がおこり,中間構文の形式が得られると考える。影山(1996)では二重イベント化は基本的に結果構文形成であるが,本研究では,中間構文形成動詞のとる二重イベント構文は結果構文以外にも使役構文,二次述語文等もあるという事実を捉え得る。又外項の背景化という観点から能格交替と中間構文を統一的に捉える事が可能となる。