中国のさまざまな地域で話されている朝鮮語の,語幹が/l/で終わる1音節語幹動詞の語尾によるアクセント交替について,共時的,通時的な比較を行った。
吉林省龍井市出身の話者は,語幹が一貫してHで現れるもの(A),基本形ではHで現れる語幹が,ある語尾の前ではLに交替するもの(B),語幹が一貫してLで現れるもの(C)を持っており,Bに属する語が多い。このうちCについて,吉林省汪清県出身の話者では,語幹末の/l/が落ちる場合に母音語幹動詞と同じようなアクセント交替をし,黒龍江省寧安市出身の話者ではBに合流している。
通時的に見ると,龍井市の話者は中期朝鮮語のアクセント対立を保存している。それぞれのグループに属する語彙数の偏り,ならびに語尾がついたときの特殊性が,上記変化の原因と考えられる。