英語におけるTough構文,中間構文は,主語名詞によって示される実体の特徴をそれぞれ表すという点において類似性を持つ一方で,各構文に生起する動詞の分布に違いがみられる。その一例としてbuyが挙げられる。
(1) This book is easy to buy.
(2) *This book buys easily.
しかし,この動詞が,中間構文に生起できる場合がある。
(3)The low mortgages on these houses mean that they buy easily. (O'Grady 1988: 66)
本発表では,これら二つの構文の形成過程に注目し,各構文に生起する要素間の意味的関係を考察する。そして,各構文の容認性は,各構文に生起する動詞の語彙的意味だけで決定されるのではなく,要素間の意味的関係,各構文固有の意味との整合性も考慮に入れて決定されるということを主張する。