本研究では,(1)が示す日本語のカタ名詞化に関する事実が日本語軽動詞構文の分析に対していかなる意義を持ちうるのかを検証する。日本語軽動詞構文では,(1)が示すように,名詞部に格が顕在する場合((1a))とそうでない場合((1b))との交替が許される。しかし,軽動詞スルに名詞化辞カタを付けて名詞化すると,そのような交替は見られなくなり,格が顕在している場合のみが許される。本研究では,この事実がFukui and Sakai(2003)が提案する日本語軽動詞構文の分析を支持する証拠となることを論じる。
(1)a. 読書ヲスル → 読書ノシカタ
b. 読書スル → *読書シカタ/O.K. 読書ノシカタ