本発表は,日本語とカザフ語のオノマトペがどれぐらい多義的かを明らかにするものである。両言語のオノマトペを「擬声語」「擬音語」「擬態語」「擬情語」の下位類に分類し,それぞれにどれぐらいの頻度で「単義語」「単一多義語」「多義混成語」が見られるかを分析した。その結果,日本語の「擬声語」「擬音語」は単義的であるが,「擬態語」「擬情語」は多義的になっているのに対し,カザフ語オノマトペの多義語数は3割を超えず,単義的になっているという相違が明らかになった。このような相違に「多義混成語」が大きく関わり,日本語オノマトペには,1つの形式では擬声,擬音,擬態,擬情の語義が混成する語が多く存在するのに対し,カザフ語オノマトペには逆に1つの形式では別種の語義は混成しない傾向が見られる。なお,本発表は,両言語のオノマトペは多義性に関する結果は異なるが,擬音語と擬態語の性質は同様であるということを示したものである。