間接疑問縮約構文の非移動分析
木村 博子
本発表では,英語の間接疑問縮約構文において残余句であるwh句はCP指定部への可視的な移動を行わず,元の位置に留まるとする非移動分析を提案する。この分析のもとでは,英語の間接疑問縮約構文が,日本語や中国語等のwh非移動言語における通常のwh疑問文と,島の効果に関して,並行的な振る舞いを示すという事実が自然なものとして説明できる。さらに,英語の間接疑問縮約構文が主節の場合でさえも,補文標識の位置に可視的な要素が現われないという事実に関しても非移動分析は説明を与えることが出来ると論じる。また,この非移動分析の帰結として,wh移動現象の分析において,移動を引き起こす動因としてPFインターフェイスからの要求を組み込むAgbayani(2006)で提案されている移動理論が妥当であるということが導かれる。