日本語/English
日本言語学会について
入会・各種手続き等
学会誌『言語研究』
研究大会について
学会の諸活動
その他関連情報

日本語の形容詞派生動詞に関する統語的分析

長谷部 郁子

本発表で取り扱うのは,「楽しむ」,「苦しむ」,「高まる」のような形容詞派生動詞の統語構造である。本発表では,形容詞の統語構造には空のVPが常に投射され,「む」や「まる」のような動詞化接辞は,このVPの主要部に実現し,さらにVPの上にvPを投射すると主張し,この構造を用いて,なぜ,「青白い」や「息苦しい」,「根深い」のような複合形容詞や「(背が)高い」のような個体レベル述語である形容詞の動詞化が「*青白む」や「*(背が)高まる」のように許されないのかを説明する。このvPの指定部は他の機能範疇の指定部と同じようにEPPの要求が満たされることを要求し,複合形容詞は,その形成方法(具体的には影山(1980)が提案する「N編入」)が原因でvPのEPP要求が満たされることができず,動詞化が許されないと議論する。また,個体レベル述語の場合,主語がTPの指定部に基底生成されるため,vPのEPP要求が満たされず動詞化が阻止される。

プリンタ用画面

このページの先頭へ