本発表では,沖縄における方言が現在どの程度衰退しているのか,Fishman (1991)が提唱するGIDSという枠組みから分析する。そして,その衰退の度合いに従い沖縄方言を再び復活させるためにはどのような活動が必要なのかを考察する。GIDS(Graded Intergenerational Disruption Scale)とは,少数派言語がどの程度消滅の危機に脅かされているかを表す指標であり,Fishman (1991)はこのGIDSを用いて,衰退しつつある言語を逆転させる活動を起こすためのプランや優先事項を提唱している。本発表では,沖縄における大学生の言語使用に関する質問紙調査のデータから,沖縄における二つの方言(伝統的な沖縄方言と,標準語と伝統的方言との間に新しく生まれた沖縄方言)がどちらも消滅の危機にあることをGIDSという枠組みから示す。そして,それぞれの衰退度に従い,沖縄におけるこれら二つの方言を復活させ,維持させるためには今後どのような活動が必要なのか,現状と対策を挙げながら具体的に議論する。