本発表では,『大阪・東京アクセント音声辞典』(1995)から抽出した外来語2210例のアクセントおよび式のパターンを,大阪方言(高年/若年),東京方言の3グループ間で対照することによって,以下のことを指摘した。
アクセントは,大阪高年,大阪若年,東京の順にいわゆる「-3規則」で説明されやすく,その逆の順に「ラテン語アクセント規則」による説明率が高いことを報告した。次に,式はアクセントによって大方が決定され,語頭アクセントは高起が,次語頭アクセントはほぼ完全に低起が,平板は高起が予測できることを示した。これにより,前後両側からのピッチ算定が重なる長さである,4モーラ以下の語においては自動的に式とアクセントが決まり,5モーラ以上の語との間に音韻境界があることを明らかにした。同時に,5モーラ以上の語においても,低起を生起させる特定の音配列が存在することを指摘した。