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トルコ諸語音韻史上の rhotacism と lambdacism

竹内 和夫

現代諸語(方言)と古い文献に共通の基礎語彙について,内的再構によって祖語形を立て,つぎの仮説を提出した。 トルコ祖語(BC数千年?)における *-z/*-š は,狭母音または口蓋化音素 (j, y, i̯) がそれに先立っていたとき,チュワシ祖語において -*r/-*l への変化がおこった。 こうした二大方言への分裂はBC100~300年と推定する。この音声変化は,*-z/*-š に先行する舌の高い位置が影響をあたえ *-z>*-r および *-š > *-l̥ > -*l をひきおこしたものと説明できる。チュワシ祖語とハンガリー祖語などとの接触によって,-*r/-*l 方言の語彙が提供された。一方 -*z/-*š をもたないモンゴル祖語は *-r/-*l (*-lč と) で借用した。

Čuv.Trkm.Tat.Mk.(11c.)ProT.
śăvaraɣɨðawɨz*āgɨz
čer-dɨðteztiz*tɨyz
8sakkărsekiðsigezsek(k)iz*sekkiz
30vătărotuiðutizot(t)uz*hottiz
100śĕryüðyözyüz*jüyz
śăltăryɨldɨðyoldɨzyulduz*juldɨz
părbūðbozbūz*būz
tăvardūðtoztūz*tūz
văkărököðögezököZ*hököz
小牛părubuðawbozawbuzaɣu*buzagu
xĕrgɨðkizglz*kiyz
私たちepirbiðbezbiz*biz
君たちesirsiðsezsiz*siz
śuryāðyazyðz*jðz
長いvărămɨnozɨnuzūn*uzūn
śaldišteštiš*tiyš
śulyāšyašyaš*jāš
5pillĕkbēšbišbiš*bi̯ēš
70śitmĕlyetmišjitmesφ*jetmiš
čuldāštaštyāš*ti̯āš
xĕlgɨškɨšqɨš*kɨš
kĕmĕlkümüškömeškömöš*kömöš

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