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日本語と韓国語の敬語用法の対照研究の諸問題

荻野 綱男
金 東俊
梅田 博之
羅 聖淑
盧 顕松
福田 麻子

(1) 聞き手敬語における「場面」の影響について
日本語も韓国語も,同じ話し相手(親友)に対する場合でも,その場に居合わせた第三者の影響によって使われる敬語表現に連いがある。これによって,(従来絶対敬語といわれてきた)韓国側も相手の人物だけで敬語使用が100%決定されるのではなく,その周辺の「場面」が影響していることが確認された。すなわち,絶対敬語―相対敬語の問題と関連させるならば,韓国にも相対敬語的な側面があることがわかった。
(2) 敬語とは何か
韓国語の聞き手敬語の表現の中に,ある特定の人物に対して多く使われる表現がある。このような表現の場合でも,敬語表現体系全体としては「丁寧さ」を考えることができるから,二つの表現間の差も丁寧さでとらえることができる。ただし,広義の敬語の観点からは,文体差を始めとするさまざまな使用条件を明らかにしないと,ある場面でどの表現を使うべきかがわからないといえる。
(3) 敬語意識の日韓の差
日本よりも韓国の方が敬語がはっきり存在し,人々はそれをいいことだと評価している。そのことは,韓国の方が敬語体系が複雑であること,それらをはっきりと使い分ける傾向があることと相互に関連するものである。したがって,韓国語の敬語はこれからも強く残っていく素地がある。
(4) 社会言語学的な研究の意義
本研究は,日本の言語生活研究(日本的社会言語学)の延長上にあると位置付けられる。その意義として,第一に,数量的確認,第二に新発見および新概念の提示(言語系からの観点ではないため)がある。数量的確認の場合でも,すべて「常識」通りの結果になるわけではないから,それなりの意味がある。
(5) 日韓対照研究の意味
日本語と韓国語はともに敬語体系の発達した言語であるが,親に対する言葉遣いに典型的にみられるように,両者の敬語使用のルールは違っている面があり,対照研究の有効な分野であると考えられる。

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