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Halliday の Functional Grammar のテクスト分析への応用
―新聞分析の紹介を中心として―

古岩井 嘉蓉子

Halliday の An Introduction to Functional Grammar が1985年に出版されている。この本こそ Halliday の研究の集大成といえる。内容は機能文法とその discourse 分析への応用を示している。実際に使用されている言葉の機能を調べるとは,コンテクストの中で,どのような意味が生じるかを体系的に整理してしくことである。そこで三つのメタ機能の一つである観念内容的機能 (ideational function) を中心にして,二種類のオーストラリアの新聞を資料にして比較する。すなわち同一の事件を各々,読者層の異る新聞はどのように表現しているのか。もし多少の達いがあるとすれば,社会的状況や文化的目的が言葉の中に観察されるはずである。 テクスト I は Daily Telegraph (Jan. 12, 1984) の記事でその対象とする読者は労働者階級であり,テクスト II は主に教育のある中産階級を対象とした Sydney Morning Herald (Jan. 12, 1984) からの報告である。これら二つの違った新聞の報道を分析すると次の様にいえる。テクスト I にみられる動詞の Process の選択は高い教育を受けていない労働者向けの報道に適している。前半では,読者に感情的に訴えるのに Mental process を示す動詞で始まり,後半では母親の行動を具体的に語るのに Material process が多く用いられている。一方,テクスト II の前半では Relational process の動詞を使い,これによって他との比較や評価が示されている。後半に進むに従って内容の調子は忠告的となる。その目的のために Mental process を強い肯定の意味内容で用いている。種種なテクストの言葉とその用法を調べることにより,そのテクストの目的達成に役立つに適わしい動詞が選ばれているか,あるいは読者に訴えるだけの説得力があるのかといったことを分析してみるのに Halliday の機能文法は有効であると思われる。

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