日英語の動詞形成過程における意味的制限
小田 弘美
武井 朗子
武井 朗子
英語にも日本語にも名詞から動詞を作る語形成のメカニズムが存在する。
英語の動詞化過程には代表的なものとして Denominal による動詞化 (bottle the wine, coat the furniture, core the apple, name the dog etc.) と,Affixation による動詞化 (encage, shorten, classify, Americanize etc.) がある。
日本語の動詞化過程にも同様に,“食事する,判断する”のような「~する」を付けるものと,“国際化する,合理化する”のような「~化する」を付けるものという二つの代表的な過程がある。
日英語の四つの動詞化に共通な語幹である名詞が動詞になる過程についての意味制限をまとめてみると(下図)のようになる。
英語では元の名詞に「深く結び付いた動作 (Associated Action) を持つ」という意味的制限が満たされれば Denominal によって,また「特徴的な性質 (Characteristic Feature) を持つ」という制限が満たされれば,Affixation によって動詞化か可能と成る。
日本語については,語幹と或る名詞(及び形態素)が,動作性を持っていれば,「~する」によって,また,「特徴的な性質」を特っていれば,「~化する」という表現によって,それぞれ動詞化が可能である。
このように,Denominal と「~する」には意味制限に大きな違いがあるが,Affixation と「~化する」についての意味制限は共通性がある。