敬語意識と敬語
石井 直子
本研究は,敬語に対する意識と敬語使用との関連を明らかにすることを目的とする。そのために,高校生約400名を対象としたアンケート調査の結果を,次の手順で分析した。
(1) 敬語意識と敬語使用それぞれの個人差にかかわる特徴を求める。
(2) (1) で求めた特徴をよく表わすような指標を設ける。
(3) (2) で求めた指標を用いて関連性の有無を検定する。
分析の結果は以下のとおりであった。
◎ 敬語意識のうち狭義の敬語意識(意見・内省等)の個人差は敬語に対する関心の高さの違いによって説明される部分が大きい。この関心の高さを数値で表したものを狭義の敬語意識の指標とする。
◎ 敬語意識のうち敬語によって喚起されるイメージの個人差は敬語に対して好意的か否かによって説明される部分が大きい。この好意の程度を数値で表したものを敬語イメージの指標とする。
◎ 敬語使用については,異なる聞き手に対して使う語形の達いから,次の3種類の指標を設けた。
丁寧点……………言葉使い全体の丁寧さを表す。
使い分け点………場面によって言葉を使い分ける程度を表す。
親疎重視点………敬語を使うとき親疎関係を重くみる程度を表す。
◎ 以上に述べた範囲においては,敬語意識と敬語使用との関連性は十分に認められる。
よって,当初の目的はとりあえず達成されたと結論する。